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SPECIAL特集

アーティスト・井上雄彦の世界

東京都現代美術館ほか

 

人気漫画「スラムダンク」、「バガボンド」、「リアル」などで知られる漫画家・井上雄彦さん。その作品は国民的人気を誇り、幅広い読者から圧倒的な支持を集めています。そんな井上さんのアーティストとしての側面にも、今、とても注目が集まっているのをご存知でしょうか? その魅力を現在開催中のプロジェクトと展覧会からひもといていきます。

美術館に突如現れた高さ7メートルの巨大な作品

アーティスト・井上雄彦の世界

東京・木場にある東京都現代美術館。その広々としたエントランスの突き当たりに、井上さんの手がけるパブリック展示があります。「井上雄彦 エントランス・スペース・プロジェクト」のモチーフは、「週刊モーニング」(講談社刊)で現在も連載中のコミック「バガボンド」。筆と墨で描かれた作品は、なんと高さ7.2メートル、6メートルという超大作です。

この壮大な作品は、井上さんの卓越した芸術的センスと“職人魂”がうかがえる人柄が生み出した、まさに傑作。井上さんが描く筆と墨の作品は、日本画でもありますが、一方で漫画という井上さんが培ってきたフィールドから派生する親近感もある、新しい現代美術作品として捉えることができます。展示が公開されてから、メイキング映像の前で心にメモをとる若者や、毎日訪れるという小さなお子さんなど様々な人がやってきているそう。多くの人を引きつける絵画としての質の高さ、そして今の時代に似合った空気感が共存している作品といえます。

今回、保存性が良く、厚手で丈夫な佐麻紙を使用し、実際に展示スペースに紙を寝かせて制作。天井にモニターを設置して、全体像を確認する工夫はしたものの、下書きや墨を入れる状況では視野の範疇しかとらえることができない状況。そんななか、実物の人よりも何倍も大きな像を描いていくその集中力とバランス感覚に、制作に携わったスタッフも驚きを隠せなかったそうです。メイキング映像の中で井上さんは「描き終えた後、手直しをするつもりだったが、不思議と手を入れるべきではないと感じた」と話しています。大きな和紙に描かれた宮本武蔵は、もとから居たかのように凛と立っていたのかもしれません。

水墨画の手法、武蔵という歴史的なモチーフ、それら古典的な要素を現代に再生し、リアリティーのある作品を誕生させた、その巨大な成果が無料で観ることができるのは3月28日まで。東京都現代美術館エントランスで展示されています。

東京都現代美術館公式サイトはこちら

伝説として語り継がれる展覧会の大阪版が開催

アーティスト・井上雄彦の世界
大阪のサントリーミュージアム[天保山]では、展覧会「井上雄彦 最後のマンガ展 重版<大阪版>」が開催中です。2008年初夏に、東京の上野の森美術館で開催された同展では、一つの空間でしか共有できない物語を体感しようと、全国から井上作品のファンのみならず、入場制限を行うなど多数の観客が殺到し、巡回予定のなかった展覧会は“伝説”とまでいわれました。当時、1度きりと考えていた井上さんも、その反響と多くの美術館からの要望から、巡回展開催を決意したそうです。2009年に熊本市現代美術館で開催された「重版〈熊本版〉」は地方では異例の約8万人を動員。そして今回、「重版〈大阪版〉」と称して、新たな絵と演出を加えたかたちで大阪の地ならではの展覧会がはじまりました。

今展では、墨と筆で描き下ろした一編の物語が軸になっています。“マンガ展”という展覧会タイトル通り、マンガの定義に沿ってストーリーが流れていく、受け手の感覚はそのままに、井上さんは“空間マンガ”ともいえる「空間にマンガを描く」ことをテーマに展覧会に挑んでいます。コマに区切って物語を展開させていく従来のマンガとは別の、ひとつひとつのコマが絵画として完成した状態で巨大な空間に作品を展示。和紙をキャンパスに見立て、筆の筆致を最大限に活かした作品が並びます。

こちらも宮本武蔵を主人公とした「バガボンド」をモチーフに、意外性と迫力に満ちた140点の大小からなる肉筆画で展開されています。それぞれが独立した絵画としても鑑賞できますが、この140点をひとつの作品として楽しむことがマンガ展といえる所以でもあります。そして、1冊の作品としてひとつの会場が展開されるので、上野版、熊本版とは場所も会場設計も異なる大阪版だからこその個性が味わえる、ここでしか体感することのできない物語があります。

会期中、ワークショップ「マンガ制作の仕事を体験しよう」では、井上作品の背景や仕上げなどを担うアシスタントが講師となってマンガの描き方を教えてくれます(2月6、7日開催、詳しくは同館まで)。さらに関連グッズなどの販売もあります。大阪版での新商品となる手ぬぐいなども発売されます。

サントリーミュージアム[天保山]公式サイトはこちら

貴重すぎるコンテンツ満載の永久保存版ムックが発売

アーティスト・井上雄彦の世界
2008年、上野の森美術館で行われた展覧会「井上雄彦 最後のマンガ展」にあわせ、どこよりも早くアーティスト・井上雄彦を特集したのがマガジンハウス「BRUTUS」でした。「緊急特集 井上雄彦」と銘打った号は発売するや完売に。

そして今回、当時の内容とさらに追加されたページで構成される永久保存版ムック「BRUTUS特別編集 井上雄彦」が1月12日に発売されます。井上作品の解説、「スラムダンク」未公開ラフ、仕事場と作業風景レポート、ロングインタビュー、といった人気を呼んだページはそのままに、あれから1年半の月日で取材を行った「スラムダンク」のさらなる未公開ラフ、「リアル」の未公開ラフ、新作ポスター、追加インタビューなどの新たなコンテンツを加えての再編集。ファン待望の1冊が誕生しました。

1月12日発売
『BRUTUS特別編集 井上雄彦』(マガジンハウス編)
定価:690円(税込み)
発売元:マガジンハウス 


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