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SPECIAL特集

ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代~清長、歌麿、写楽

山種美術館ほか

 

様々な名品コレクションを誇るボストン美術館。実は浮世絵の一大コレクションがあることを知っていましたか? 日本美術のコレクションでは世界最多という同館、なかでも浮世絵は各時代の名品を所蔵しています。そのなかから浮世絵の黄金時代を彩った人気絵師、清長、歌麿、写楽に焦点をあてた注目展覧会が巡回中です。

江戸の活気を今に伝える、町人文化の粋

錚々たるコレクションの中から厳選したのは、浮世絵がもっとも盛んに制作されていた江戸は。天明・寛政期の作品たち。この時代は錦絵黄金時代と呼ばれるほどスター絵師が続々と登場した頃でもありました。

この一時代に絞ってもなお優品ばかりが並ぶ本展は、ボストン美術館のコレクションの高さをうかがうことができます。そして、このコレクションはこれまでほとんど公開されたことがなかったという点にも注目です。良質な保存状態だったため、コンディションのいい作品が多いのが展示作品の特徴のひとつ。錦絵本来の色彩美を堪能することができます。さらに、ボストン美術館の文化財保護の厳格な規約によってこの展覧会終了後、5年間は門外不出となってしまいます。つまり、この機会を逃すと5年以上先にならないと見られない! そんな貴重な作品ばかりが展示されているのです。

天明・寛政期は多色摺技術の発達により、飛躍的に表現の幅が広がった時代でもあります。錦絵は版型も大判化していき、大きく迫力のある画風が流行しました。2~3枚から成る続絵という作品も登場し、とくに江戸の風景などの町並みはよりリアルに想像力を掻き立てられる工夫が凝らされています。

ボストン美術館の浮世絵コレクションは江戸初期から幕末、明治まで5万点もの版画、700点以上の肉筆画を所蔵しています。さらに数千点に及ぶ絵本、絵入本もあり、世界的にも有名なコレクションとなっています。そのなかからの珠玉の作品が凱旋帰国。約140点が会場を彩ります。

三大絵師、清長、歌麿、写楽の魅力に迫る

本展では、3人の人気絵師の作品に焦点を当てた展示構成になっています。その3人というのが、鳥居清長(1752~1815)、喜多川歌麿(?~1806)、東洲斎写楽(生没年不詳)。同時代に活躍し、それぞれの個性で話題となった3人の作品を比べることのできる貴重な機会でもあります。

錦絵黎明期においては、鈴木春信という天才絵師の存在がありました。春信の様式に染まっていた浮世絵界において、オリジナリティーを発揮していったのが上記の3人です。元来、町人文化を反映するような自由で活気のある浮世絵の世界観のなかに、個性という独特のスパイスを織り交ぜた作品をそれぞれが発表していきます。

美人画で人気を博した鳥居清長は人々の好みや世間の流行を敏感に察知する能力に優れ、当時の“リアルな美人”を描き出す天才でした。彼の描く八頭身の健康的な美人はまるでどこかに存在するかのような実在感のあるものばかり。とくに女性をたくさん描いた群像は必見です。

そんな清長が家業である看板絵や芝居関係の作品に専念しはじめた頃に登場したのが喜多川歌麿でした。歌麿の描く美人画は、首の太い迫力のある美人が見どころ。さらに贅沢な素材をつかった豪華な作品が爆発的なヒットとなったのです。本展ではそんな歌麿の真骨頂の作品はもちろん、まだ様式が確立しない初期の美人画も展示されています。

そして今もなお謎の多い、写楽の作品も20点ほど並びます。活躍した期間はわずか10ヶ月足らず。そんな短期間に数々の名作を残し、こうして後世の人々までも魅了してやまない写楽作品にも会うことができます。

神戸、名古屋を終え、東京、千葉、仙台を日本列島を浮世絵が走る!


さらには3人のほか、黄金期に活躍した絵師たちもしっかり紹介します。個性豊かな実力派の絵師らがそれぞれの画派を形成していったその変遷をたどります。

そしてその後、浮世絵という分野において多大な影響を与えていった絵師の作品も展示。役者似顔絵を普及させ多くの門人を育成した勝川春章、独学で絵を学び挿絵類を多く手がけた北尾重政をはじめとした北尾派、美人画を専門とした鳥文斎栄之とその一派……。歌川豊春をはじめ幕末の一大画閥となった歌川派など、同時代に活躍した絵師たちの競演にも注目です。

本展は神戸を皮切りに名古屋で好評開催中。その後、東京では山種美術館(2月26日~4月17日)、千葉市美術館(4月26日~6月5日)、そして仙台市美術館(6月24日~8月14日)へと巡回します。異国の地で大切に保存されてきた江戸の逸品たちが今、歳月を経て地元・日本を巡回する浮世絵の教科書のような展覧会です。ぜひ最寄の美術館に足を運んでみてください。


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