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SPECIAL特集

モーリス・ユトリロ展 パリを愛した孤独な画家

損保ジャパン東郷青児美術館

 

20世紀初めのフランスを代表する画家、モーリス・ユトリロ(1883‐1955年)。地元モンマルトルの町並みばかりを繰り返し描いた画家として知られています。早くから高い評価を得ていた画家のその人生と素顔がわかる展覧会が開催中。詩情あふれる風景世界に秘められた彼の思いを約90点の作品から紐解きます。

孤独な思いを風景画に捧げた画家・ユトリロ

モーリス・ユトリロ展 パリを愛した孤独な画家
モーリス・ユトリロは近代フランス絵画が花開いたエコール・ド・パリの画家たちのひとり。ただ、エコール・ド・パリの画家たちが積極的に各地からパリのモンマルトルやモンパルナスに集まり、交流を深めながら活動していったのですが、ユトリロの生活は一線を画していました。彼はひたすらにキャンバスと向き合い、人づきあいもほとんどなかったといわれています。

それは、彼の生い立ちが深く関係しています。ユトリロの母親、シュザンヌ・ヴァラドンはモンマルトルで画家として活躍しました。それに加え、モデルとしても才能を発揮し、多くの巨匠たちが彼女を描いたそうです。そんな彼女が18歳の頃に産んだのがユトリロでした。幼少期のほとんどを祖母の手で育てられたユトリロは、アルコール中毒のリハビリとして絵を描くようになります。その才能は母親譲りなのか、瞬く間に評判となりました。

彼が描いたのはパリの風景ばかり。しかし、それらのほとんどは母親らが持ってきた絵葉書の風景を題材にして制作されていたそうです。活気ある時代、当時の芸術の中心都市に住みながらも、彼はほかの画家との交流があったわけでもなく、モチーフを目の前に制作をしたわけでもなく、自身のアトリエで黙々と絵画を生み続けていきました。

その才能は、彼の周りの人をも狂わせていったようです。母親やその再婚相手、しいては母親から勧められ結婚をした妻でさえも、ユトリロの絵画を売買し、巨額の富を得ていきます。彼の人生はその才能に翻弄されていったのかもしれませんが、数多くの名作を作り出したユトリロは純粋に描くことが好きでモンマルトルの風景、その町並みを愛していたからこそだったのでしょう。

日本初上陸の約90点を一挙公開

モーリス・ユトリロ展 パリを愛した孤独な画家
今展では、日本初上陸となる約90点が一堂に介しています。ここまでユトリロの作品が一気に鑑賞できるのはとても貴重な機会であり、彼の画業を大きく3つの時代に分けて紹介をしています。

制作順に展示をみていくと、初期の頃の作風の違いが鮮明に表れています。「モンマニーの時代」では、厚塗りで豪快な作品を見ることができます。

とくに評価の高い「白の時代」は、白にこだわり、白色を作る際には漆喰や石膏などを混ぜて微妙な表情をもつ“白色”を生み出したといいます。子どもの頃からひとり遊びが得意だったユトリロは漆喰など身近にあるものを絵の具に混ぜるなどの実験にとても熱心だったそうで、「パリの思い出に何か一つ持っていくとしたら?」という質問に対して「漆喰」と答えたといいます。

そして「色彩の時代」と呼ばれている、色彩が豊富で鮮やかな作品の多い時代に入ると、ひとつの特徴として風景の中に人が描かれるようになります。その多くは女性で、少し滑稽なスタイルで描かれています。腰の部分が大きいその姿は、女性に偏見のあったユトリロの想いを反映しているのでは、ともいわれています。

各時代とも、描かれているのは風景ばかり。しかし次第に教会が増えていくなど彼の意思もうかがえます。ひとりの作家の人生をひもとく、とても静かで荘厳な展覧会です。

特設のミュージアムショップも出現!

モーリス・ユトリロ展 パリを愛した孤独な画家
「色彩の時代」まではほとんどその作品に人物が登場することのなかったユトリロの作品ですが、「白の時代」の作品でもどこか人の気配を感じさせます。この街を愛し、この街を描いたユトリロの想いは、パリを愛する人の心に感動を呼び起こし続けています。

ユトリロの墓には、今でも献花が耐えないほど、多くの人に愛され続けています。この展覧会で感じるユトリロの人生そのものは暗く悲しいものかもしれませんが、作品から伝わってくる感動は悲しいばかりではありません。パリへの憧れが詰まった絵画には、日本人の心も掴む魅力が詰まっています。

さらに、今回は損保ジャパン東郷青児美術館内にある常設のミュージアムショップだけでなく、ビル1階に特設のショップが登場しています!

今展にちなんだグッズをはじめ、パリのモンマルトルを彷彿させるようなグッズが満載。ここのショップだけでも楽しむことができるので、気軽に寄ってみるのもオススメです。


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