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SPECIAL特集

ルノワール 伝統と革新

国立国際美術館

 

日本でも人気の高い、印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール。ルノワールを紹介する展覧会は数多く開催されてきましたが、今回はルノワール芸術の魅力を4つの章にわけて紐解いていきます。国内有数の印象派コレクションで知られるポーラ美術館の特別協力のもと、代表作を含む約80点を展示。ルノワールの絵画を新解釈で研究した成果などもあわせて鑑賞することができます。その絵画の魅力、画家としての人生を作品を通して感じることのできる展覧会です。

新しい視点からルノワールの絵画の魅力を探る

東京の国立新美術館、そして大阪の国立国際美術館でこの春開催しているのが、春の息吹にふさわしいみずみずしい作品を多く残したルノワール。展覧会のイメージカラーにもなっている優しいピンク色からは、その絵画への優しくも真摯なまなざしが伝わってくるようです。ルノワールへの旅、身体表現、花と装飾画、ファッションとロココの伝統という4部構成となっている今展では、ルノワールが歩んだ画家としての変遷にも注目が集まっています。印象派の前衛としてスタートし、身体表現の巧みさで肖像画家として成功したルノワール。しかしその裏には、常に探求を重ね模索し続ける革新の画家としての一面もありました。

最も注目を集めている作品のひとつが《団扇を持つ若い女》。実際の作品の鮮やかな色彩に、小さい作品ながら目を見張る人がとても多い名作です。このモデルとなった人物は、コメディー=フランセーズの人気女優であったジャンヌ・サマリー。当時流行していた英国風タータンチェックの旅行着を着ている姿や、手に持たれた日本の団扇など、当時の流行を取り入れた作品といえます。1878年のパリ万国博覧会の開催によって、ジャポニスム(日本趣味)が大流行していた時期でもあり、団扇のほか、当時の流行の花でもあった日本の菊を思わせる花々が描かれています。愛らしい作品ですが構成は複雑で、背景のアンバランスさがモデルの存在感を一際目立たせている個性的な作品です。

身体表現の章では、《陽光のなかの裸婦》や最晩年に制作された《浴女》などからわかるように、一貫してルノワールの制作テーマとして重要な位置を占めていた裸婦の表現について紹介しています。ラファエロやポンペイの壁画から影響を受けたといわれていますが、会場では様々な裸婦の作品から、ルノワールの実験的な一面が浮かび上がってきます。

ルノワールという人生は

伝統と革新の狭間で絵画と向き合ってきたルノワール。彼の人生とは一体、どんなものだったのでしょうか。

1841年、フランス中西部の磁器産業で栄えた街、リモージュに仕立て職人の子として生まれたルノワールは、パリで陶器の絵付け見習いなどを経て、20歳になる頃には画家グレールのアトリエで学んでいました。ルノワールはそこでバジールや後の印象派の画家たち、モネ、シスレーらと出会うことになります。そして1874年の第1回印象派展に《棧敷席》を出品、さらには1878年からサロン(官設展)に出品をしはじめました。

サロンでは成功から肖像画家として認められますが、1880年代初頭に印象主義的な手法に行き詰まりを感じ、作風に変化が現れはじめました。この頃からの作風から、ポスト印象派といわれることもあります。イタリア旅行で触れた文化からの影響が強く、その後の1890年代からは本来の温かな色調豊かな作品が多く制作されました。

晩年は車椅子で制作を続け、「指に筆をくくりつけて描いた」という逸話も残っています。4000点を越えるとも言われている絵画を制作し、一貫して自らの作風に満足することなく生涯を閉じたルノワール。その活躍は日本にも早くから紹介されていました。梅原龍三郎をはじめとした様々な画家に影響を与えています。ルノワールの魅力を存分に味わえる展覧会、関東と関西の春の話題となることでしょう。


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