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SPECIAL特集

ボストン美術館 ミレー展 傑作の数々と画家の真実

三菱一号館美術館

 

ボストン美術館の3大ミレーが来日中

ジャン=フランソワ・ミレー《自画像》1840-41年頃 油彩・カンヴァス Museum purchase with funds donated by contribution93.154 Photographs ©2014 Museum of Fine Arts, Boston
今年で生誕200年を数えるバルビゾン派の中心的画家、ジャン=フランソワ・ミレー(1814~1875)。フランスのノルマンディー地方に生まれた彼が、パリでの活動を経てバルビゾン村に居を移したのは、1849年のことでした。数年後、ボストン出身の一人の画家が同じくバルビゾン村に移り住み、その後ミレーの名品を母国に持ち帰ります。それをきっかけにボストン市民の間でミレー愛好熱が高まり、1876年に開館したボストン美術館には、多くのミレー作品が寄贈されました。

そのボストンから、“ボストン美術館の3大ミレー”と言われる3作が同時来日しています。ミレーのほかに、同じバルビゾン派のコローやルソー、ミレーの影響を受けたモネらの作品も並ぶこの展覧会。会場に入るとまず、なんとも複雑な表情を浮かべたミレーの自画像が迎えてくれました。ミレーは生涯で4点の自画像を描いていますが、こちらはパリに出て間もない頃の一点。眉間のシワは、画家としての決意と不安の現れなのかもしれません。

《種をまく人》が30年ぶりに東京に

ジャン=フランソワ・ミレー《種をまく人》1850年 油彩・カンヴァス Gift of Quincy Adams Shaw through Quincy Adams Shaw,Jr., and Mrs. Marian Shaw Haughton 17.1485 Photographs ©2014 Museum of Fine Arts, Boston
続く二つの展示室のテーマは、「フォンテーヌブローの森」。様々な画家がバルビゾン村に隣接する森を描いた作品たちに囲まれていると、まるで本当に森の中にいるような安心感に包まれます。そして森を抜けて村に辿り着くように、次の展示室「バルビゾン村」へ──。ボストン美術館の3大ミレー、《種をまく人》《刈入れ人たちの休息(ルツとボアズ)》《羊飼いの娘》が一つの部屋に並ぶ光景は、まさに圧巻の一言。いつまでも眺めていたくなります。

《種をまく人》は近代美術史上、初めて“農村での労働”そのものを主題にした作品です。無名の農夫を古代の英雄のようなスケールで描いた革新的な作品は、近代美術を代表するアイコンの一つとなりました。穏やかな中に力強さと躍動感があふれる画面を間近で見ていると、黙々と働く農民に対するミレーの温かな眼差しと尊敬の念が伝わってきます。東京には30年ぶりの来日となるミレーの代表作を、ぜひじっくりと鑑賞してみてください。

ミレーがまいた、本当の種とは?

ジャン=フランソワ・ミレー《編物のお稽古》1860年頃 油彩・板 Gift of Quincy Adams Shaw through Quincy Adams Shaw,Jr., and Mrs. Marian Shaw Haughton 17.1504 Photographs ©2014 Museum of Fine Arts, Boston
ミレーは風景画のほかに室内画も多く描いており、本展では《編物のお稽古》など数点が「家庭の情景」と題された章で展観されています。質素な生活を描いた作品は、近代化が進む当時のヨーロッパの人々のノスタルジーを呼び覚まし、特に新興の中産階級から支持を受けました。時代も場所も遠く離れた今の日本でも、作品を見れば、彼らが感じたノスタルジーをきっと共有できるはず。ミレーが幅広く親しまれる理由が、改めて分かった気がします。

「ミレーがまいた、本当の種とは?」──これは、本展のチラシに添えられた一文です。その問に答えるヒントが見えるのが、ミレーが日本の若い洋画家たちに与えた影響をひもとく「ミレー、日本とルドン」と、ミレーの精神を引き継ぐレルミットらの作品が並ぶ「ミレーの遺産」の章。会場を後にする時、あなたの心には果たしてどんな答えが浮かんでいるでしょうか。

文/町田 麻子


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