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REPORT展覧会レポート

2009.12.15

森美術館『医学と芸術展:生命と愛の未来を探る』 (2010.01.08更新)
 

森美術館『医学と芸術展:生命と愛の未来を探る』

2009年11月28日~2月28日開催、森美術館『医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る』。科学・医学が芸術と出会う場所……という位置づけとして“身体”をテーマにした意欲的な展覧会。医学・薬学の研究に対して世界最大の助成を行っているイギリス・ウエルカム財団のコレクションから約150点の医学資料や美術作品、そして約30点の現代美術や日本の古美術作品を通して、人間の生と死の意味に迫る、ユニークかつ壮大な試みといえる展示が繰り広げられています。

森美術館『医学と芸術展:生命と愛の未来を探る』

その展示物のジャンルの広さに驚かれるであろう、通常では考えられない作家と作家が隣り合わせで展示されているといった光景が至るところで実在する、とにかく稀な展覧会です。出品作家を列挙してみると、レオナルド・ダ・ヴィンチ、円山応挙、河鍋暁斎、デミアン・ハースト、ヤン・ファーブル、ジル・バルビエ、やなぎみわ、蜷川実花、松井冬子……と新旧、またジャンル、出身国など本当に様々。それらを“医学とアート”というキーワードでひとまとめにしている点が、個性的であり、チャレンジであると感じずにはいられません。

森美術館『医学と芸術展:生命と愛の未来を探る』

なかでも注目なのがヴァルター・シェルの写真作品「ライフ・ビフォア・デス」シリーズ。対峙している2つのポートレート、これらの被写体は同じ人物ですが、絶対的な違いがある2枚が並んでいます。シリーズのタイトルでもわかるよう、死を直前にした“生きている”写真と、死後に撮影された“生きていない”写真。とても考えさせられますが、ひとりひとりの表情の複雑さ、そして死後であろう作品から感じ取れる生の息吹に、この展示空間で立ち止まってしまう人の心理がうかがうことができます。

森美術館『医学と芸術展:生命と愛の未来を探る』

今回の展覧会が通常の美術展示と違う点として、いくつかの専門的な医療器具、義手・義足などの補装具などが展示されているというポイントがあります。1800年代の眼科手術用具セット、現代アートの作家作品があしらわれている義足など……デザインやアートという視点からとらえたそれら資料もまた、医学とアートの距離を感じることのできる“作品”として並んでいます。レオナルド・ダ・ヴィンチ作解剖図3点など貴重な資料、そして注目の現代美術作品も多く展示されている展覧会は、観る人によって感想も大きく異なるかもしれません。アートという領域を広げ、観る人へ挑戦的なアプローチを試みていることは確か。ぜひ実際に観て、自分なりの解釈を楽しんでもらいたいと思います。



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