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MuseumCafe/ミュージアムカフェ

博物館・美術館情報サイト「ミュージアムカフェ」

COLUMNコラム

2009.12.16

旬な人インタビュー

山種美術館 山﨑妙子館長

 

2009年10月1日、東京・恵比寿に新築オープンした日本画専門の山種美術館。開館記念特別展として『速水御舟―日本画への挑戦―』が開催され話題となったことも記憶に新しい、注目の美術館です。新生・山種美術館での楽しみ方を同館館長の山﨑妙子さんにおうかがいしました。

日本画が主役のシックで親しみやすい美術館へ

山種美術館 速水御舟「炎舞」
恵比寿の渋谷橋の交差点から坂を上り下りしていると、次第に右側に見えてくるモダンな建物。閑静な文教地区に移転した山種美術館です。同館は1966年に日本初の日本画専門の美術館として日本橋兜町に開館しました。

開館から40年以上、多くの名作を紹介してきた同館。この新しい空間でも、日本画をより一層魅力的に紹介してくれることに間違いありません。さらにミュージアムショップやカフェなど新たな施設も完備。

ミュージアムショップでは素材選びから厳選したオリジナル商品を展開。一筆箋や絵ハガキなどはお手ごろ価格のものと、高品質な、いわば特別なときのための商品と2種類を展開しているそうです。「絵を観たときの感動をそのまま持ち帰ってもらいたい」という美術館の想いが具現化されたグッズは、日本画の雰囲気をそのまま再現したものばかり。贈り物としても喜ばれそうです。
カフェは展覧会の入館料がなくても利用ができます。作品をテーマにした和菓子などのメニューを楽しむことができます。もちろん展覧会を観たあと、その余韻に浸れる空間です。

そして今回新たに作られた常設展示室にも注目。“日本画が主役”という美術館のこだわりが感じられるその空間は、あえて天井を低くして絵画との一体感を味わうことができます。その都度同館所蔵の名品が飾られる予定で、特別展とは別の世界が堪能できます。さらにエントランスを飾る日本画家・加山又造の陶板壁画作品も目を引きます。

館長が語る美術館の魅力

山種美術館館長・山﨑妙子さん
創始者である山﨑種二氏を祖父に持ち、現在美術館館長を務める山﨑妙子さんに新生・山種美術館の魅力をおうかがいしました。

「山下裕二先生をはじめ、多くの関係者の方々と話し合い、この新しい美術館が生まれました。日本画を最適に鑑賞してもらうために細部にわたりこだわりぬいた空間です。照明は日本画に似合う光を実現できる器具を開発し、建物の材質にも気を使いました。建築もシンプルでシックに、展示室も作品の魅力がより際立つよう工夫しています」

新しい土地に移ったことで、新しい客層も増えてきたそうです。

「以前は50代以上の方が大半だったんですが、若いお客様も随分増えました。もっと地域に根ざしていけるように、近隣の小・中学校などの教育普及に日本画を役立てていっていただきたいとも思っています。私自身、幼い時から日本画を見て育ち、小学生の頃は画家になりたくて絵も習っていたんです。本物に触れることで、写真や図版では発見できないような感性が見つかるかもしれません。そういったことに日本画が役立っていけば嬉しいですね」

日本画をもっと身近に感じてもらいたい、その信念が山﨑館長から伝わってきます。

「オープン初日は8時台から並んでくれる方もいて感激しました。日本画は普段の生活では接することができない分野。だからこそ美術館に足を運んで観てもらいたいし、観たあとはほのぼのした気持ちで帰ってほしい。山種美術館がそういう存在になっていければと思います」

別名「御舟美術館」と呼ばれるほどの所蔵品が一堂に

山種美術館 速水御舟「婦女群像(未完)」
11月29日までは新美術館開館記念特別展『速水御舟―日本画への挑戦―』を開催中です。本展は同館が所蔵する120点の御舟作品を全て見せようという試み。有名な代表作をはじめ、スケッチなども展示します。また今回が初公開となる《婦女群像(未完)》は、未完の大作。最晩年に描かれたとされ、亡くなる前年に制作された実在する6名の女性が描かれています。御舟の急逝により、完成しませんでしたが、人物群像という新しい挑戦がうかがえる貴重な作品です。

「幻の作家」と言われていた御舟ですが、同館は“御舟美術館”と呼ばれるほど、その作品を多く所蔵し、また名作に触れる機会を提供してきてくれました。御舟の画風の変遷をたどる構成や人となりがうかがえる欧州を訪れた際の日記の展示など、同館だからこそ実現した展覧会でもあります。

速水御舟を皮切りに、東山魁夷、大観と栖風、奥村土牛などの展覧会が控えています。日本画を気軽に楽しみ、美術との距離をもっと近づけることができる美術館にぜひ足を運んでみてください。

(2009.11.1)



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